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2007年10月23日

地域医療にかける熱い思い・・・NO.352

 今日は、県立病院等調査特別委員会の県内調査で県立志摩病院へ。委員会としては、県立4病院のうち、最後の調査先となる。ワタシは、昨年、病院事業民営化検討会で視察しているので、2度目の訪問。

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 志摩病院の調査に先立ち、伊勢の山田赤十字病院(上の写真)を訪問。県内でも有数の経営状態のいいところだ。開設は、明治37年と驚くほどに古い。何でも、当時、看護師養成のために、病院施設が必要だと言うことで赤十字が創立したことから始まっているらしい。現在は、655床、診療科目25科、別途老人保健施設100床を保有、職員数991名、3次までを担う救急救命センターも持つ、名実ともに県中南部の基幹病院だ。

 医師不足、看護師不足、診療報酬のマイナス改定、病床稼働率の低下、医業収益の悪化と、負のスパイラルに悩む公立病院の悩みもどこ吹く風、医師、看護師は潤沢に確保、昨年度を除けば数億単位の黒字を出す。医師の過剰勤務を緩和するため、外来患者を制限しても、それを補うべく入院診療で収益をあげる。数年先には、新たな投資をして、別敷地に新設移転をもくろんでいる。まさに、考えたとおりに、経営状態をコントロールしている。恐るべし!赤十字病院。

 しかし、何と言っても、これだけ自在にコントロールできるのは、医師や看護師といった医療資源を潤沢に確保できていることが一番大きい(ここには、医師不足や看護師不足といった文字は存在しない)。村林院長に、そのあたりを伺った。「やはり、日赤ブランドによることが大きい。実は、医師の給料は県立病院よりも低い。多分、近辺でも一番低いはず(赤十字の基準があるらしい)。医師の派遣も三重大学から。ただ、大学も厳しくなってきたので、自前で確保できるように切り替えている。看護師も今年20名採用。来年は70名採用予定。7:1の確保もでき、増収になっている。」とのお話。

 給料が安い!?意外でした。黒字を出しているくらいだから、てっきり高額の給与が支払われ、医師も集まってくるのかと。三重大学からの派遣でやってきたというのも意外。ここは特別扱いなのだろうか。最も、派遣引き上げにあっても、「十分自前で補充できるだけの力はありそう」と同席の委員の見解。行政からの補助金がなくとも黒字経営。負のスパイラルとは反対に、プラス経営がいろんな形のプラスを生んでいる。医師確保も、究極、お金ではなく、仕事場として魅力があるかどうかに尽きるようだ。ただ、ベースの条件整備にはお金がかかることだし、経営効率を高めるため、入院患者の在院日数を切りつめているなどの問題も含んでいるようだ。

 県立志摩病院では、田川院長から、変わらぬ地域医療にかける熱いを聴かせていただいた。医師の引き上げや看護師不足、診療報酬のマイナス改定などの嵐の中で、地域医療を守るための、可能な限りの自助努力をやっていただいている。研修医の確保。地域でのシンポジウム。メディカルスクールの開催。院長自らの広報活動等々。地域のみなさんや開業医さんの協力も大きい。頭の下がる思いだ。特に、医師不足で一旦閉鎖した産科が復活した例は全国的にも希らしく、再開後初の出産で、母親の涙をみた時に、「やってよかった」との思いを強くしたとのお話には、感動させていただいた。この地域にはなくてはならない病院であることは間違いない。こうした自助努力に、行政としてどう支援していくのか、大きな課題だと言える。

 

投稿者 boss_blog : 2007年10月23日 20:47

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